群馬県が庁舎の会議室の鍵をスマートロックへ。 会議のたびに「10~20分」の短縮を実感

企業名
群馬県
業種
公共機関・非営利団体
入居施設
県庁舎
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群馬県は、県庁舎の会議室管理におけるDXの一環として、物理鍵による運用から、スマートロックとworkhubを活用した運用へ移行しました。実証実験後に実施した職員向けアンケートでは、98.0%が「便利になった」と回答。さらに63.9%が、会議のたびに10〜20分の時間短縮を実感しており、鍵の借用・返却にかかる負担の削減につながっています。

今回は、導入を推進された、群馬県の知事戦略部デジタルトランスフォーメーション課(以下、DX課)の木暮さん、総務部 財産有効活用課財産管理係の中山さん、総務部 財産有効活用課 県庁舎リノベーション推進室(以下、県庁舎リノベーション推進室)の奥田さんに、本取り組みの詳細を伺いました。

拠点管理工数
5.2→2.3人月
約3人分の業務を削減
出張者カード発行
90 → 0 件/月
顔認証で毎回の発行の手間を解消
会議室
3室削減
利用状況見える化・「空予約」解消で実現

課題

・20以上ある会議室を物理鍵で管理しており、利用のたびに11階の窓口で鍵を借りて返却する必要があった

・会議室が庁舎内の各フロアに点在しており、鍵の貸し借りに移動時間や心理的負担が発生していた

・管理者側でも、鍵の受け渡しや返却催促などの対応が日常的な負担になっていた

決め手

・工事不要で設置できるため、大掛かりな工事コストが不要

・庁内ネットワークに依存しないLTE通信対応により、既存のセキュリティ環境と切り離して運用が可能

・将来的に想定される「Outlookカレンダーとの連携」などに対応でき、拡張性がある

効果

・職員向けアンケートで98.0%が「便利になった」と回答

・63.9%が、会議のたびに10〜20分の時間短縮を実感

・鍵の受け渡しや返却催促の手間が削減され、管理者側でも最大で1日2時間ほどの業務削減につながった

物理鍵による会議室管理は、職員と管理者の双方に負担を生んでいた

――従来の会議室管理の課題を教えてください

中山さん:群馬県の県庁舎には20以上の会議室があり、各部屋はセキュリティ確保のため施錠しています。従来、利用者は11階の財産有効活用課の窓口で所属部署名や名前の確認を済ませて鍵を受け取り、利用後は返却する必要がありました。しかし、庁舎は33階建てで、会議室は各フロアに点在しています。そのため職員にとっては鍵の貸し借りのための移動に時間を取られることや、窓口の担当者が不在のときの対応などが課題となっていました。

県庁舎11階に位置する財産有効活用課の窓口
従来の貸し出し運用を再現

――会議室の鍵管理では、どのような負担がありましたか

中山さん:会議後に鍵を返却しなければならないため、次の予約が入っている場合には、会議が終わったら、すぐに鍵を返す必要がありました。利用者側としても、返却時間を気にしながら会議室を使うことになり、少なからず心理的な負担があったと思います。ほかにも時間外や急な会議の場合も、財産有効活用課の職員が不在だとすぐに対応できないことがありました。そのため、会議室を使いたいタイミングで使いにくい場面もありました。

財産有効活用課 中山さん

小さな「面倒くさい」を見直したことが、会議室DXのきっかけ

――このタイミングで取り組みを推進されたのはなぜですか

奥田さん:このプロジェクトのきっかけは、私が騒ぎ出したことなんです(笑)。「会議室の鍵の貸し借り手続き、面倒くさいよね」と。DX課に所属していた頃から課題を感じており、県庁舎リノベーション推進室への異動を機に問題提起をしました。

実証実験では、運用トラブルの有無と時間短縮効果を検証

――導入プロセスについて詳しく教えてください

木暮さん:DX課では各部署の新しい取り組みを支援するための実証実験用の予算を持っています。今回は奥田さんの相談を受けてこの予算を活用し、まずは運用の検証をしてみようということになりました。そのなかで、DX課は候補となる製品の選定を担当しました。

奥田さん:スマートロックの存在は以前から知っていましたので、どの会社の製品が良いのか?を比較するところからのスタートでした。

 中山さん:実証実験は28階と29階の共用会議室を対象にしました。この会議室は全職員が利用する共用スペースです。このこの階ならば様々な部署からフィードバックが得やすいと考えました。検証の目的は、スマートロックの導入により運用上の課題が生じないかということでした。具体的には、予約が重複した際にトラブルが発生するか重複などの確認です。また、鍵の貸し借りに要する時間を可視化することも目的の一つでした。

会議室をカードで解錠する様子

――実証実験では、どのような効果を確認しましたか

中山さん:実証実験では、実際に利用した職員にアンケートを実施し、鍵の借用や返却にかかっていた時間がどの程度削減されたのかを確認しました。あわせて、スマートロックに変えたことで使い勝手に問題がないか、従来の予約方法でも支障なく運用できるかといった声も集めています。

そうした結果を踏まえ、会議室運用に大きな問題がないことを確認しながら、本格導入に進められるかを判断していきました。

製品選定では、工事不要・LTE通信・将来の連携性が決め手

――スマートロックの選定において、特に重視されたポイントを教えてください

木暮さん:費用面はもちろんですが、他にも重視したのが「工事の必要性」と「通信方式」です。大掛かりな工事が必要となればコストがかさむため、工事不要で設置できるものを求めていました。通信方式については、LTE通信に対応していることも重視しました。会議室に設置するうえで、既存の庁内ネットワークに依存せず運用できることは大きなポイントです。

ビットキーさんのスマートロックはLTE通信に対応しており、庁内ネットワークとは独立して運用できます。費用面や設置のしやすさに加え、この通信方式も決め手の一つになりました。

また、県庁で会議室予約に利用しているOutlookカレンダーを、将来的にはworkhubとも連携させたいと考えていました。Outlookカレンダーで予約したら、workhubに情報が同期され、予約者はその時間だけスマートロックを解錠する権限がもらえるというイメージです。現時点ではニーズが顕在化していませんが、必要なときに連携できる、その拡張性も考慮しました。

DX課 木暮さん

――庁内ネットワークと切り離して運用できることは、なぜ重要でしたか

木暮さん:県庁内のネットワークには独自のセキュリティ基準があります。Wi-Fi通信のスマートロックを導入する場合、庁内ネットワークに接続するのか、別途ネットワーク環境を用意するのかを検討する必要があります。

ところがLTE通信であれば庁内ネットワークとは切り離した形で運用できるのです。既存のネットワーク環境に影響を与えず、後付けで導入できることは、庁舎内で運用するうえで大きなメリットでした。

スマートロック導入後、98.0%が「便利になった」と回答

中山さん:実証実験では職員に広く協力いただきました。実験後のアンケートでは満足度や、従来の鍵の借用・返却にかかる時間と比較して、効率化できたのか確認しました。実際に利用した職員の反応を確認したうえで、運用上の大きな問題がないか、会議室の利用に支障がないかを見ながら、本格導入へ進めていきました。

 

――アンケートの結果はいかがでしたか

中山さん:98.0%が「便利になった」と回答しました。1会議あたりの時間短縮効果も10〜20分と回答した方が63.9%となり、効果を感じています。

以前は鍵の借用や返却のために財産有効活用課まで足を運ぶ必要がありました。庁舎内を移動して鍵を受け取り、会議後にまた返却するという往復の時間が不要になったことが、大きな時間短縮につながっていると思います。

アンケート結果

――利用者からはどのような声がありましたか

中山さん:利用者の方からは、鍵を借りに来る手間や返す手間がなくなったことで、会議室を使える時間を有効に使えるようになったという声をいただいています。

以前は、時間通りに鍵を返さなければならないため、“次の人が待っているから会議がぎりぎりでも鍵を返しに行かなければならない”といった心理的な負担がありました。そうした負担が軽減されたという声もアンケートでいただいています。

<アンケートに寄せられたコメント>

  • 鍵を借りる・返すための時間を見積もらずにすむようになったのが一番助かりました。高層階から向かうと、タイミングにもよりますが、かなり時間がかかっていました。
  • 後ろの時間に別の予約が入っていても慌てて鍵を返却しに行く必要がなくなり、心理的負担がかなり軽減されました。
  • スマートロック化は大変便利になったので感謝しています。一方で、所属配布枚数に制限があるので、将来的には職員証等と結び付けて個人単位で開け閉めできると便利だと思いました。

管理者側でも、鍵の受け渡しや返却催促の手間が削減された

――管理者側の負担も軽減されたそうですね

中山さん:はい。財産有効活用課の業務効率化にも効果がありました。以前は1日に約20件の会議室の鍵の受け渡しを行っていましたし、鍵の返却が遅れている場合、返却を催促する手間もかかっていました。このような手間がなくなったことで、一日あたり最大で2時間ほどの業務を削減できています。

 

――現在、どのような運用にされていますか

中山さん:会議室に入室するためのカードは各課に2枚ずつ配布し、発行・管理は財産有効活用課で行っています。

当初は会議室利用に対しカード枚数が不足する懸念もあったのですが、実際に運用してみると十分対応できています。各課の人数は15名から40名弱とまばらですが、会議室の数にも限りがありますので、現状のカード枚数で特に大きな問題は発生していません。

ICカードの登録作業はパソコンひとつで完結する

――導入後の維持管理では、どのような点を確認しましたか

奥田さん:管理側の目線からすると、機器の耐久性や電池の持続時間なども重要な検証ポイントでした。スマートロックの盗難や破損、機器の電池持ちや故障、維持管理コストなども念頭に入れて検討を進めました。

検証の結果、電池は半年程度持続し、100回程度の使用が可能とのことで、実用に十分耐えうる結果が得られました。

年度途中の実証実験も、柔軟な導入支援でスムーズに進められた

――導入にあたって、印象に残っていることはありますか

奥田さん:実証実験は年度途中で実施したため、予算面での調整が必要だったことですね。通常、行政の会計年度の都合上、年度をまたぐサービス契約は難しい面があります。その点、ビットキーさんには色々ご調整いただき、助かりました。

中山さん:私は、ビットキーさんの担当者に、カードの登録などの設定方法を丁寧に教えていただいたおかげで、スムーズに導入できたことが印象に残っています。

県庁舎リノベーション推進室 奥田さん

会議室利用データの活用と他の鍵管理への展開で、さらなる業務改善を目指す

――今後についてお考えのことをお聞かせください

木暮さん:DX課としては、今後さらにデータ活用を進めていきたいですね。今回の取り組みによって、どの部署がどの時間帯に会議室を多く利用しているのか、季節による利用傾向の違いがあるのかといった情報も把握できるようになりました。

たとえば、人事に関わる時期には面接などで会議室の利用が増えることもあります。そうした利用状況をデータとして可視化できれば、今後の会議室運用の最適化にも活かせるのではないかと考えています。

中山さん:私どもが管理している施設や設備の鍵は他にもあり、例えば公用車があります。公用車の鍵は従来の会議室の運用と同様に、現在も窓口で受付、鍵を受け渡しています。これも、わざわざ11階に来ることなく手続きできるようにしたいですね。私たち職員の業務効率が上がることは、最終的には県民の方々へのサービス向上につながります。今後も小さな不便や非効率を見過ごさず、より良い県庁づくりを進めていきたいと思います。

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