取材日:2025年2月28日
Sansan株式会社(以下、Sansan)は、事業拡大と人員増加に伴い、2024年9月に渋谷サクラステージへのオフィス移転を実施。移転を機に入退室管理システム、受付システムの見直しを行い、ビットキーの「workhub」を導入いただきました。
オフィスセキュリティの強化や、従業員数の増減に伴うアカウント管理業務の負担の削減、スムーズな来訪者体験を実現できているといいます。
今回は、オフィス移転プロジェクトの中核を担うオフィス戦略部に所属する白鳥さんに、システム見直しの背景からworkhub選定までの過程、導入後の効果についてお伺いしました。
事業拡大と人員増加による10年ぶりの本社移転

—— Sansanが展開する事業について教えてください。
白鳥さん:Sansanは、営業DXサービス「Sansan」や名刺アプリ「Eight」をはじめとして、働き方を変えるDXサービスを国内外に提供しています。近年では、インボイス管理サービス「Bill One」や契約データベース「Contract One」が非常に伸びていますね。
—— 白鳥さんが所属されている「オフィス戦略部」の役割について教えてください。
白鳥さん:オフィス戦略部は、オフィスに関する日常的な困りごとの対応からオフィス移転にいたるまで、オフィス全般にわたる業務を担う部署です。
Sansanはリモートワークを併用しつつオフィスで働くことを起点とする「オフィス・セントリック」という働き方を提唱しています。「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションを掲げているように対面でのコミュニケーションを大切にしているため、オフィスのあり方を経営戦略の一環として捉えているのです。
—— 10年ぶりの本社移転とのことですが、移転を決断された背景について教えてください。
白鳥さん:オフィス移転の理由は、大きく2つ挙げられます。
1つ目は、従業員の増加に対応可能なオフィススペースの確保です。直近3年間で従業員が700名以上増え、以前のオフィスではすでに座席や会議室が不足する場面もありました。そのため、より一層広いオフィスへの移転が不可欠でした。
2つ目は、オフィスの集約です。これまでは表参道に本社を含めて4つの拠点が点在していましたが、今回の移転で本社に集約し、事業部を超えてコミュニケーションが活性化されるオフィスとなるように設計しました。
重要視したのはセキュリティと来訪者体験の向上
—— 今回、workhubの入退室管理システムと受付システムを導入いただきました。導入した背景を教えてください。
白鳥さん:以前は、それぞれ別の会社のシステムを利用していましたが、オフィス移転を機に新たな機能が必要になったため、両方のシステムを見直すことにしました。
重視していた点は、セキュリティレベルの向上と来訪者のスムーズな受付体験を実現できることです。
以前のオフィスはエレベーターで各フロアに直接アクセスできる構造だったため、オフィスエントランスには受付システムのみを設置していました。来訪者には企業名・氏名を毎回入力いただく運用にしており、入力の手間が発生していることに課題を感じていました。
新しいオフィスでは、セキュリティを向上させつつ、来訪者の方に負担をかけない導線をつくりたかったので、もともとあったビルの壁を撤去するという大掛かりな工事を行い、専用のセキュリティゲートを新設しました。こうした背景から、セキュリティゲートの通過から受付のチェックインまで一気通貫で行えるシステムを探していました。

また、専有部エリアへの「共連れ」も課題でした。インボイス管理サービスの「Bill One」をはじめ、Sansanの提供する各サービスではお客様の個人情報やその先にいらっしゃるお客様の機密情報もお預かりしているため、高いセキュリティ水準が求められます。
そこで、物理的なセキュリティを向上させるため、アンチパスバック機能※ を持つ入退室管理システムの導入を検討していました。
※アンチパスバック機能:通称「共連れ防止機能」と呼ばれる「アンチパスバック」機能は、セキュリティ向上を目的としてオフィスビルセキュリティや入退室管理システムにより提供されています。一般的には、入退室で利用するセキュリティカード上に「入」の記録がない場合は退出できない、もしくは「出」記録がなければ入室できないといった、「入」と「出」をセットにして管理することで、不正な出入りを防ぐ目的で利用されています。
—— 従来の入退室管理システムにはどのような課題がありましたか。
白鳥さん:従来の入退室管理システムはオンプレミス型で、クラウド型のセキュリティシステムとの連携方法に課題がありました。
また、Sansanでは、Google WorkspaceやSlackなど複数のクラウドサービスを導入しており、ID管理サービスのOktaを利用して、従業員の入退社に伴うアカウントの権限管理を自動化しています。一般的に「プロビジョニング」と呼ばれる機能ですが、従来の入退室管理システムはOktaと連携できず、入退室権限の追加・削除においては1件ずつ手作業で行わざるを得ませんでした。
従業員数が直近3年間で700名以上増加している状況を考えると、手作業での管理は担当者の負担が大きく、オペレーションミスも懸念されます。今回システムを見直すことで、担当者の負担を軽減し、より安全な運用体制を構築したいと考えていました。

求める機能を備えているのはworkhubだけだった
—— workhubを選んだ理由を教えてください。
白鳥さん:先ほどお話ししたように、従来のシステムでの課題を解決し、今回の移転で求めていた要件を備えているシステムはworkhubしかないと判断したからです。
具体的には以下の4つが挙げられます。
1. Oktaと連携できること
2. セキュリティゲートと連携可能な入退室管理システムと受付システムを提供していること
3. アンチパスバック機能を搭載していること
4. 既存の扉に後付けでき、複数拠点の権限とログの管理を一元化できること
これらを実現できるソリューションはworkhub以外に見当たらず、まさに唯一無二のソリューションだと思いました。
後付けで多拠点の入退室権限とログを一元管理できる点からも、Sansanの今後の成長を長期的に支えてくれるソリューションだと期待することができました。今回の本社移転に続き、いくつかの拠点にもworkhubの入退室管理システムを導入予定です。
管理業務の効率化と正確な記録の把握も実現
—— workhubを導入して、どのようなメリットを感じていますか。
白鳥さん:より強固なセキュリティ体制の構築と管理業務の効率化に寄与していると感じます。
まず、入退室管理システムがOktaと連携できずにいた課題が解消され、アカウント情報の管理をOktaへ集約することができました。これまで手作業で行っていた入退室権限の追加・削除業務が自動化されたことで、担当者はとても喜んでいます。退職や異動の際の権限の更新漏れへの懸念も無くなり、精神的な負担も軽減されたようです。
アンチパスバック機能は、Sansanオフィスの執務エリアの扉は設定をONにしています。従業員は入退室のどちらもセキュリティカードをかざす運用にしているので、セキュリティカードをかざさずに通過しようとする人には周りの人が声掛けをする習慣がつき、共連れが防止されるようになりました。従業員のセキュリティ意識も自ずと上がったように感じています。
—— 受付体験の向上については、来訪者の方からどのような声がありますか。
白鳥さん:来訪者からは「以前よりも手軽になった」という感想をいただいています。従来のシステムでは、企業名・氏名を毎回入力していただく必要がありましたが、workhubの受付システムでは、事前にメールに届いた二次元コードをかざすだけで、セキュリティゲートの通過からチェックインまで完了します。
従来の受付システムでも、二次元コードでチェックインする体験は可能でしたが、その二次元コードだけではセキュリティゲートを通過できず、別途受付での手続きが必要でした。ですので、セキュリティゲートと連携できる入退室管理システムと受付システムを提供するworkhubの方が、「来訪者にストレスを感じさせない、スムーズな受付体験を提供したい」というSansanの方針に合っていると感じました。


—— 管理者の視点から感じるメリットはありますか。
白鳥さん:来訪者情報の管理を正確に記録することが可能になりました。
従来の受付システムでは、来訪者が複数人いる場合、代表者1名のみに氏名を入力してもらっていました。新オフィスでセキュリティゲートを設置してからは、ゲートへの通過履歴によって基本的に同行者を含むすべての来訪者情報を取得できるようになりました。そのため、「いつ」「誰が」来訪したのかを正確に把握することが可能になっています。
来訪者、従業員共に顔認証のニーズも高まる
—— 顔認証入退室管理システムも導入いただきましたね。
白鳥さん:はい。まずは試験的に一部の来訪者向けにご利用いただいています。顔情報を登録した来訪者は次回からは顔をかざすだけで通過できるので、「優越感がある」という感想を多くいただいています。実は、従業員からも「自分たちも使いたい」という声も挙がっているんです(笑)
—— 顔認証でゲートを通過する体験は特別感がありますよね(笑)。従業員の方々のニーズも高まっているとのことで嬉しいです。本日はありがとうございました!

—— 最後に
Sansan様のオフィス移転にまつわるお話しを伺い、来訪者の体験や気持ちを細やかに想像されながら導線を設計されていることに、深いこだわりを感じました。そのような思いが詰まっているオフィスにworkhubを導入いただけたことを、大変嬉しく思います。
この度はご取材をお受けいただきありがとうございました。
ビットキーは、今後もSansan様の成長を支えるオフィスソリューションとして全力でサポートしてまいります。
また、ビットキーの東京オフィス・大阪オフィスでは、実際にビットキー製品を体験いただけるオフィスツアーを開催中です。workhubを使った新しい働き方をご紹介できますので、少しでもご興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。